The Art of Flower

-The Art of Flower 
YFI Series

アート集団yuhakuが描く世界。

UNITED FLOWERS 田中氏の創り上げた花束から受けた印象を、アート集団 yuhakuのフィルターを通してストレートに表現する「YFIシリーズ」。革のキャンバスに描いた絵を、インクジェットプリントでアイテムへと落とし込んだ。その花束はすでに枯れて形はないが、各アイテムの裏側に確かに息づいている。その思考プロセスを、共に感じてもらいたい。

 

突然だが、yuhakuはアート集団という側面もある。革を手染めするという行為から職人集団だと思われがちだが、色を扱うためにはアーティスト的な感性も必要不可欠。実はyuhakuの職人には、美術大学の出身者などが多いのはそのためだ。「YFIシリーズ」ではまず、アート集団yuhakuの新たな試みとして、代表の仲垣友博を筆頭に2人の職人と共に、三者三様のアートを作り上げた。それを高解像度でスキャンし、高密度なポリエステル生地にインクジェットでプリントを施したのが、今回のコレクションだ。ここでは、ひとつの花束から生まれたその3枚の絵を紹介したい。

 

 

Bloom」(=開花する)

代表の仲垣は暗がりの中に映し出される花束の立体的な重なりを表現した。3次元である花束を2次元に抽象化するとき、重なり合う花々は本来であれば透けて見えることはないが、人の目で見たときには、右目と左目の差から微妙な重なりが生じる。「Bloom」は、その重なりを手染めの技法によって描き出した。また、有機的な花を無機質な正方形に置き換えることで、2次元の中で全体の調和を取っている。

特筆すべきは、イタリア産のカーフ(生後半年未満の仔牛の革)に染色を行ったことにより、血筋が葉脈のようにも見え、生命観が強調されている。その血筋はインクジェットプリントにより生地にもそのまま映し出されているので注目してみてほしい。

 

 

Drip」(=滴る)

田中氏が花を生ける際、霧吹きで大量の水を吹きかける。花の命に欠かせない水を与え、再び生き生きとさせるためだ。その水が滴る様子は、花束が出来上がっていく過程の中でも特に印象的なシーンである。上から下へ、霧吹きの水を纏うことで、花びらの色は一段と濃くなり、死へと向かう花の最期に美しく輝く。「Drip」は、その一瞬を切り取った。

女性染色職人の尾崎は花束を油絵で描いた。床革(革を加工する際に生まれる銀面のない革)の毛羽だった表面に絵の具を乗せ、滴る水をイメージしながら、筆を縦に動かしていく。バッグへ落とし込む前段階としてPC上でも画像処理を加えており、色味を変化させることによって抽象的なイメージを加味している。

 

 

Blur」(=滲む)

人は花束を目の前にしたとき、往々にして花の美しさにしか目がいかない。しかし、花には茎があり、枝があり、それら全てによって花束は成り立っている。元漫画家の染色職人の安斎が表現するテーマは、そんな花ではない部分に焦点を当てこと。着目したのは水だ。花を生ける時の水だけでなく、茎の中にも水は流れている。それは、命の流れそのものである。

水のように流れるランダムな模様は、アルコールに浸した革に対して染料を流しながら染色することによって生まれたもの。水墨画の滲みを意識しつつも、自然の流れにある程度身を任せることで、計算できない模様を描き出している。

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The Art of Flower | 2019

yuhaku Inc.

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