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色彩の情景
2026年限定カラー「慶駿(慶春)」

色が生まれる、その瞬間を綴る。
特別な色には、特別な物語があります。

yuhakuでは、限定色を発表するたびに、
その色が生まれるまでの“情景”や“想い”をひとつの記録として残していきます。
染色を担う職人やデザイナーの声、
制作の裏側で交わされた言葉や、手の中で育った色彩の記憶──

それは単なる色見本ではなく、
ひとつの色が完成するまでに積み重ねられた“時間”と“感情”の記録です。

このページでは、そんな色の背景にある静かなドラマを、 言葉を通してお届けしてまいります。

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染色の着想 ― 馬という存在

午年の染色について考え始めたのは、昨年の7月のことでした。
「馬」という存在から、どのような色彩を立ち上げるべきか。
その問いは、私自身の記憶を辿るところから始まりました。

前職が古着屋だったこともあり、真っ先に思い浮かんだのは、
デニムブランドLEVI’Sのパッチに描かれたツーホースマークです。
一本のデニムを、二頭の馬が左右から引き合うあの図柄。

このマークは1886年に登場し、
識字率が低かった当時に、ジーンズの丈夫さを視覚的に伝える役割を担っていました。
馬がどれほどの力を持つ存在かが、文字以上に人々の生活に根付いていたのです。





歴史の中を駆け抜けた名馬たち

そう考えると、歴史や神話の中で馬が果たしてきた役割も、自然と気になってきます。
思い当たったのは、ギリシア神話と三国志でした。

アレキサンドロス大王の愛馬・ブケファロス。
東方遠征において、ギリシアを出発し、ペルシャ、エジプトを経てインドまで――
世界征服の長い旅を、彼らは数多の歴戦と共に駆け抜けました。
その道中で、いったいどんな景色を見てきたのでしょうか。

一方、呂布の愛馬として知られる赤兎馬。
史実の三国志、そして物語としての三国志演義の双方に名を残す存在です。
血を含んだような赤い汗を流しながら疾走することから「汗血馬」と呼ばれ、
一日に千里(約500km)走ると伝えられていました。



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Pacalla馬図鑑 アハルテケ編より引用




黄金の馬 ― アハルテケ ―

さらに馬に焦点を当てて調べていくと、
ブケファロスも赤兎馬も、
トルクメニスタン原産の『アハルテケ』という馬種だったのではないか、
という説に辿り着きます。

―― なんという偶然でしょう。

アハルテケは現存する最古の馬種のひとつで、
別名は――『黄金の馬』。

ゴールドからシルバーへと移ろう艶やかな毛並みは非常に美しく、
夕日を受けながら走るその姿は、力強く、どこか神話的です。

その姿は力強く、そしてどこか静謐。
今回の染色のモチーフとして、これ以上ふさわしい存在はないと感じました。

赤兎馬の赤毛も、
きっと陽光を受けて黄金のように輝いていたのかもしれません。




「知る」から「表現する」へ

人々の生活と馬の結びつき。

アレキサンドロス大王とブケファロス、
呂布と赤兎馬が駆け抜けた歴史の中で、
私は何を見ることができるのでしょう。 当時の労働の苦労も、 人と馬が心を通わせ合った瞬間も、 馬上で受けた風も、響き渡る嘶きも、 私は肌感覚では知ることができません。 文献や絵画は、今やスマートフォンひとつで幾らでも集められます。 けれど「知っている」ことは、あくまでスタート地点です。 馳せて、浸って、 少しでも当時に手を伸ばそうとして、 持てる限りの技術を総動員し、 目の前の素材に立ち現れるように表現する。 それが、アートを生業とする者の役割だと考えています。 果たして、紀元前333年―― イッソスの戦いに、どこまで思いを寄せることができるのか。 BGMは、地上の星でしょうか。笑



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色彩で描く、時間と景色

黄金の馬アハルテケが駆け抜けた時間と景色を、 風景画の色彩技法を用いて革の上に表現しました。 遠景には紫を、近景には黄色を。 色の重なりによって、奥行きと時間の層を生み出しています。 黄昏の草原。 朝焼けの水辺。 幾重にも重なる時間と空間のあわいを、9色の染料で描きました。




九色に込めた、九つの願い

日本には「馬久行九(うまくいく)」という言葉があります。
九は、勝負運・金運・出世運・家庭運・愛情運・健康運・商売繁盛・豊漁豊作――
九つの運気を表す、縁起の良い数字です。

それぞれの願いを九色の染料に重ね、
この限定カラーは染め上げられています。

2026年新春限定カラー「慶駿」
商品ラインナップ

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色の裏側を紡ぐ

染色職人



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職人 松岡 千陽

女子美術大学 日本画専攻卒
洋楽と古着を主成分としカルト映画も少々 来世はクラゲになりたい



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yuhakuが作る2026年の新たな彩りを、ぜひお楽しみください。

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