フリーワード

全ての商品を見る

  • カテゴリ
  • 素材
  • シリーズ

すでにアカウントをお持ちの方

アカウントお持ちでない方

メンバー登録

ショッピングバッグ

商品名が入ります
  • YVE110
  • 長財布 / Blue
  • 数量 : 1
  • \47,520

小計\47,520

ご注文に進む

Article

2024.08.26

職人インタビュー – トミモリ –

ARTOColors. – トミモリ –

 

『職人とお客様を結ぶ色』をテーマに運営しているARTOCUには、既存の色名では表現しきれない、個性豊かな色があります。そして、その色を染め上げる職人たちもまた、十人十色。
 
そんな彼らの”色”を引き出すインタビュー企画
『ARTOColors.』
 
今回お話を聞く職人はトミモリさん。寡黙な職人さん……、と、見せかけて実はユニークな世界観を持っているトミモリさん。独特なペースで語られるモノづくりへの奥深いこだわりを、ARTOCU運営チームが深掘りしてきました。
 
ぜひ、ごゆっくりお楽しみください。

 

 

Index

1. いざ、「こだわりの道」へ
2. THE 職人ワールド
3. ただただ、受け入れてくれる空間へ
4. 自分を出せる場所で
5. 職人トミモリの色

 
 

芸術は、『モヤモヤ』だ。



職人 トミモリ


 
 

 1. いざ、「こだわりの道」へ 

 
 


 

– 幼少期はどのようなお子さんでしたか?

 

すごい元気で目立ちたがり屋だったので、自分からガンガン手をあげて学級委員長なんかもやってました。それが全部、大人になってからは真逆になっています。あんまり目立ちすぎて変な感じになることもあったので、目立たない方がいいかな……と勉強したのかもしれません。今は静かに生きようかなと。笑

 
 

– ものづくりを意識されたのは、いつ頃からでしょうか?

 

小学校の頃から図工が大好きで、高校生の頃にはものづくりの道に進もうと決めていました。その頃は友達と毎日のように古着屋やフリマに行って服のリメイクをやったりして、デザイナーになろうかなと思ったこともありました。ただ、デザイナーって全部指示しなきゃいけなくて、全部の責任が乗っかってくる感じがして、これは自分にはできないな、と思ってやめたんです。 でもなんかこだわりが強いし、たとえば何かがちょっとでもずれてるとすごい嫌だったから、めっちゃこだわれる道ってないかなと考えてました。
22、3ぐらいの時にたまたま靴雑誌の『靴読本』を読んで、靴職人という職業を知りました。 靴が好きだったし、こだわれるし、一人で全部やれるのでこれはいいなと思って、そこから靴職人を目指したんです。お金を貯めて埼玉の靴の学校へ行ってから、7年以上靴作りに携わりました。リーガルのミシンを2年くらいやって、その後、オーダーシューズの会社に7年、そしてyuhakuという感じです。

 
 

– yuhakuに転職したきっかけは?

 

コロナで会社が傾いて、どんどん仕事が減るし、人もいなくなっていって、規模が目に見えて縮小していきました。そこで新しい職場を探さなければ、と思って見つけた感じですね。当時その会社ではパティーヌ仕上げと呼ばれる靴の染色を3年ほど手がけていました。自分が靴職人を目指したきっかけになった靴がパティーヌだったので、社長に提案してみたら採用されたんです。そうした繋がりもあって、革業界の中でも染色をやっていて革靴の取り扱いもあるyuhakuは勉強になるな、と思えました。

 
 

 2. THE 職人ワールド 

 
 

 

– 職人歴10年のトミモリさん。ぜひ、『職人の世界』について教えてください

 

職人の世界は厳しくないとダメで、リーガルのミシンをやっていたところはTHE職人の世界でしたね。これはダメだ、とはっきり言うし、もちろん自分もちゃんとやる。「ミシンのステッチを気持ちよせてくれ」とか言うその「気持ち」が0.5ミリとかの単位で、それくらいの厳密さが職人だなと思いますね。 正直、普通に見たら80点で良く見えるものでも、職人同士だと100点になるまで言及する。yuhakuも基準が厳密で修正がすごく細かいので、やっぱり職人だな、と思います。

 
 

– 染色は数値化が難しいと思いますが、どのようなところに厳密さがありますか?

 

まず、傷に対してかなり細かいです。一般的な革業界は味として捉えるものも、yuhakuでは傷として捉えて処置しています。おそらく、最も厳しいお客様に合わせて基準を設けていて、それがクオリティを上げていることにもなると思いますが、あまりにも気にしてしまうと必要以上に時間がかかったりもするので、どこに合わせるのが正しいのかな、と悩んだりします。グラデーションに関しては、もう少し手を加えたら良くなるから、と言う注意が細かいです。正直、見る人はわかるのかな?と思うこともあります。笑
先輩方は目の定規が完成してるから違和感をパッと見つけてくれるんですが、自分ではわからないからしばらくは手探りでやってました。最近やっと、自分の中でも目の定規ができてきたので、先輩たちの言ってる意味がわかるようになってきました。これまでもらってきた色んな人のアドバイスが繋がった感じがします。自分の中に6人くらいお手本がいて、みんなこうやってたな、と言うのを思い浮かべたりして。

 
 

– 染めを行う上でのこだわりはありますか?

 

開眼したてなのでなんとも言えないのですが、自分でやっていて楽しくて納得のいく染めにこだわっています。yuhakuではムラ感のあるグラデーションを表現するので、「靄を作ってください」とよく言われます。有機的な表情を出すために、あまりなめらかすぎてもよくないんです。でも、自分はなめらかな感じが好きで、ちょっとpipinさんに寄ってるな、と感じたりします。とはいえ程よく有機的な感じも出しているので、その加減が自分の染めなのかな、と思えるようになってきました。

 
 

– ひとことで「染色」と言っても人それぞれスタイルがあるんですね

 

どこにこだわるか、というので結構違いが出ますね。たとえばaoさんは合格ラインギリギリを攻めていてスピードがとても速いんですよ。90点が合格ラインだとしたら93点くらいを絶妙に狙って、スピードが120点、みたいな。でも、今の自分は完成度で100点を目指したいんですよね。100点をずっとやっていれば、スピードを出しても基準は下がりづらいと思います。それはこれまで学んできた職人仕事全てに共通していて、初めはどこもめっちゃ厳しくて、めっちゃ細かいんですよ。おかげでベースが固まるので、そのうちスピードを上げてもクオリティの平均点は下がりません。今の自分が、みんなの役に立つためにもっとスピードを上げよう、となると、基準の低いものを手がけていることに気づかずに、後で直す……なんてことになると思います。だから今は自分の納得の染めをやることにこだわって、もっと慣れてきたらスピードとのバランスを調整したいと思います。基礎の部分を固めて根っこを張るというか……その作業は大事なので、今はそれをやっている感じですかね。

 
 

 3. 独自のインスピレーション、キーワードは”モヤモヤ”?! 

 

 

– 『アルケー』の制作について教えてください?

 

yuhakuは青が人気なので、染色室にいると、どこにでも青の染めがあるんですよ。そうやって目の端に映った色や無意識で目に入ったものが頭の中でずっともやもやしながら残っていて、それが綺麗で、宇宙っぽいなと思ったのがきっかけです。

 
 

– 制作する上で、どのような点にこだわりましたか?

 

宇宙感を出す、ということですかね。宇宙を感じてもらえるようなもやもやを出すのってすごく大変で、「これがダメなのかな」とか「ここがいいのかな」とかを納得できるまでずっと考え続けるので、頭をすごく使います。今は制作済みのサンプルを目安にやりますが、それでも仕上がりは一つ一つ違います。革はそれぞれ個性があって、同じような手順で染めても同じものにはならないようになっています。個性と対話しながら、革ってすごいな、奥が深いなとつくづく感じています。

 
 

– 普段の作品づくりはどのようなものからインスピレーションを得ていますか?

 

ARTOCUの場合は色……紺色からですかね。寂しい感じが良いんですよね。紺色で綺麗なものを見ると脳が喜んで、頭に残っているんです。記憶に残ったものって本物なので、それは信用していいかな、と感じています。熱しやすく冷めやすいので、穏やかにして残ったものだけを形にするようにしてます。なんか気づいたら見たものがもやもやしてるんですよ、頭の中で。穏やかにして寝かせているうちに、そのもやもやから色々なことが連想されて、吐き出したくなってくるんですよね。 今は天然石の「ラピスラズリ」をモチーフに制作を進めていますが、あの紺と金の点々を表現してみたい。……と、思って2ヶ月ほど研究していたんですが失敗したので完全に心が折れて。 その間にアートラストを作りたい気持ちが増えてきたので、今はそっちを進めてますね。だから今めっちゃ楽しいです。笑

 
 

– 『アートラスト』は靴のオーダーメイド経験のあるトミモリさんならではのアート作品ですよね。よろしければアートラストの制作についてもお聞かせください。

 

アートラストは、簡単に言うと靴の延長です。ラスト(靴の原型となる木型)は絶対的に「足に合わせる」という枠の中で作りますが、前職で毎日様々な形のラストを見ている内に、「足」という枠を越えた表現したいと思うようになり、6年位前から作り始めました。 端的にいうと、「足」という枠のせいで隠れている、ラストの本来評価されるべき造形的部分を表現するために制作しています。 突飛な形に見えるかもしれませんが適当に作っている訳ではなく、オーダーメイドのラストを作る際の押さえるべき計測箇所や制作の上でのポイントを極端に誇張して表現しています。人間の骨の数は約200本で、足の骨の数はその1/4にあたる50本ほどです。それくらい、人の足というのはとても複雑で、靴作りにおける工程は200ほどあり、勉強しなければならないことが多い割にはそこまで評価されていないように思います。 アートラストは、そうした靴作りに携わる靴職人に向けて制作しています。靴職人はみんな器用なので、この作品が造形美を高めるための刺激になったら冥利に尽きます。

 
 


 

「アートラスト」


 

– 実際に靴職人の方から反応はありましたか?

 

Facebookで出会ったロシア人の友人が自分の作品写真を参考にラストを作ってくれたのは、テンションがぶち上がりましたね。 やってて良かったな、と心から思いました。

 
 

 4. 自分を出せる場所で 

 
 


 
 

– トミモリさんにとって、ARTOCUはどのような場所ですか?

 

yuhakuがグラデーションを作る仕事だとしたら、ARTOCUは自分っていう感じですね。自分の表現する場所。yuhakuで得たグラデーションを武器に表現の幅は広がりましたが、ARTOCU=グラデーションをやるという感じではないですね。……でもラピスラズリ失敗したからな〜、グラデーションしたほうがいいのかな〜と悩んだりするんですけど。笑
ラピスラズリは熱くなっちゃったので、冷まして待ちます。冷ます工程も大切なので。

 
 

– 今後はどのような活動をしていきたいですか?

 

色の探求、色の組み合わせを探していきたいですね。それで日常に彩りというか……暮らしていて喜んでもらえるものが作れたらいいなと思います。
あとは、こういう場所がある会社ってすごいありがたいので、大事にしたいですね。考えてるけど表現させてももらえないとか、評価されないって嫌じゃないですか。それを出せる場所があるというだけで心が安らぐというか。「すごいこれめっちゃいいの思いついた!」と思っても出せないとストレスになったりするんですけど、それが出せるのがARTOCUなので、大事です。

 
 

– 最後に、トミモリさんにとって「色」とは。

 

感性の中で1番早く気づく感じがあって、人を感動させるのが速いなって思います。音楽は聴いてから感動するまでに最低でも10秒とか、時間がかかりますよね。でも色は見た瞬間に感動するし、絵画もそうです。だから色と絵画って近いんだなって、改めて思いますね。昔は絵で重要なのは構成だと思っていて、色づかいはそこまで気にしてなかったんですが、yuhakuに入ってから色って力があるなあ、と感じるようになりました。単色でも絵画みたいな感じがあって、見てすぐ感動する。だから色というのは人の心を動かして、感動させてくれるものですね。

 
 

 5. 職人トミモリの色 

 


アルケー


 

染め作業中にムラが宇宙に見えたので、宇宙を表現してみよう思いました。 題名の「アルケー」は、万物の始源という意味です。
 
星の位置は一見バラバラに見えますが、黄金比で構成された長方形と螺旋が隠されています。 六つだけ金色に塗られた星があるので、それらを平行、対角に結んだり、延長線を引く事で黄金比長方形が作成できますので、是非チャレンジしてみてください。
 
謎だらけの宇宙ですが、何かの法則達で繋がっているんじゃないかという期待を込めて、この作品を作りました。


 

注文ページはこちら

 
 

 
 
 

Pick up 記事

長く使っていただくための正しいメンテナンス
vol.02: 引っ掻き傷編

yuhakuの製品だから出来るケア方法や、特徴など、お客様に長く商品を使っていただくためのメンテナンスです。今回はひっかき傷がついてしまった場合の対処方法。

続きを読む >

お手入れ方法

2020.03.10

長く使っていただくための正しいメンテナンス
vol.01: 水ジミ編

革製品を長持ちさせるためには日頃の手入れが必要不可欠。yuhakuの製品だから出来るケア方法や、特徴など、お客様に長く商品を使っていただくためのメンテナンスです。革に水が付着してしまった時の対処について。

続きを読む >

お手入れ方法

2020.03.08

世界一の手染めレザーブランド yuhakuができるまで
vol.04: 商品開発

手染めによる独特なグラデーションだけではなく、使いやすさでも評価の高い「yuhaku」。今回は商品開発について紹介していこうと思う。

続きを読む >

こだわり

2020.02.15

世界一の手染めレザーブランド yuhakuができるまで
vol.03: 磨き

手染めと並んで仕上がりの印象を大きく左右するのが磨きの工程。「yuhaku」では、バフ掛けやグレージングなどといった磨き・艶出しの工程に多くの時間を割いている。豊かな質感や触感、艶感と、手染めによる美しいグラデーションが響き合うことで「yuhaku」の革が完成する。

続きを読む >

こだわり

2020.02.13

世界一の手染めレザーブランド yuhakuができるまで
vol.02:手染め

仲垣氏が長年にわたって行ってきた絵画制作の技術をもとに、研究を重ねて完成させたのが「yuhaku」の手染め技術。革を染めながら、色を重ねていくこの技法は世界でも類を見ない独自のものだ。

続きを読む >

こだわり

2020.02.11

世界一の手染めレザーブランド yuhakuができるまで
vol.01: 革の品質管理

何色もの染料を使い、手染めで美しいグラデーションを作り出す「yuhaku」のレザー。このブランドのモノづくりは、世界でも唯一と言われる独創的な染色手法と細部にまで行き届いたこだわりに支えられている。

続きを読む >

こだわり

2020.02.10